2010年8月13日(Fri) 2010年8月:12日に思うこと -ちょうど25年前の今日にフラッシュバック-
お盆の候、連日暑さが続いておりますが皆さんはどう過ごされていますか。私?もちろん手術の毎日で張り切らせて頂いております。丈夫な体に感謝、親に感謝すること仕切です。有難うございます。
ところで今年も8月12日がやってきました。丁度今から四半世紀前、(阪神タイガースが優勝した)昭和60年(1985年)の今日、歴史上最大の航空機事故がありました。そうです、JAL123便(東京→大阪行)ジャンボ機が御巣鷹山に墜落し、搭乗客ほぼ全員の520名が一瞬にして死亡した、あの忌わしい事故が起こったのです。その頃に生まれた人が既に25歳、立派な成人ですから記憶にない知らない人も多くなってきたことでしょう。私は当時20代最後の青年医師として働いており(25年経った今でも青年のつもりでいますが・・)、その勤務先病院内でこの重大ニュースを聞き衝撃を受けた事を今でも鮮明に覚えています。
この事故の原因は圧力隔壁の修理「ミス」で結論、片付けられていますが、整備技術者の人的ミス以外に根ざした本当の問題がいろいろあるのではないかと思っています。修理という手術をする以前に、圧力隔壁の損傷・金属疲労という病態が発生、進行した本当の原因(病因)、JALという高級ブランド付大会社の体質的弱点等々です(当時は25年後にまさかJALが倒産するとは100人中100人が想像出来なかったことでしょう。しかしこの弱点が結果的に倒産する原因の一つになったことは想像するに難くありません)。JALは失敗を教訓とすべく、スタッフ用に安全啓発センターを設けているようですが(出来れば部外者も見学出来るようにしてもらいたい・・)、別の角度からの事故調査をもう少し続けていくべきではないでしょうか。
職業柄、私は「ミス」という言葉には人一倍敏感にならざるを得ません。ミスは人間には付き物、と言われますが、人命に係る医療の世界ではそれに携わる人はミスは微塵も許されないからです。人命に係るという事では、交通機関も同様です。手術をする執刀医、飛行機のパイロット、電車の運転手、機材整備士等々、皆少しのミスも許されない、結果100%を提供する技量が求められる職種と言えます。しかしだからこそ、腕に覚えある者にとってはその緊張感を、辛いストレスではなく心地よいストレスに転化させることが出来、やりがいと感じ従事していけるのではないでしょうか。私は、ヘマというミスは人間に付き物と開き直らず、ミスを絶対起こさせない究極の努力が出来るのも人間と考え、一技術者として日々精進して参りたいと思うのであります。